貿易と決済 2018 9 29
今、ニュースでは、
貿易戦争や貿易摩擦が大きな話題となっています。
ただし、そこで不思議に思うのは、
貿易の話が出たのに、なぜ決済の話が出てこないのかということです。
何度も書いていますが、
日本で人気のチリワインがありますが、
チリからワインを買う時に、
代金は、どうやって払うのかという問題です。
いくら日本が経済大国で、
世界最大の債権大国でも、
チリは、日本円を受け取ってくれません。
チリの人たちは、日本円を持っていても困るからです。
さりとて、日本がチリの通貨である「ペソ」を用意するのは難しいでしょう。
日本国内で「ペソ」を調達するのは、おそらく困難でしょう。
仮に調達できたとしても、「ペソ」の変動幅は大きく、為替リスクがあります。
そこで、日本は、ドルを調達して、
ドルでワインの代金を支払うことになるのです。
チリの人たちは、ドルならば受け取ってくれるでしょう。
ドルは基軸通貨なので、他の国と貿易をした時に使えますので、
たとえば、チリが原油を輸入した時に使えますので、
ドルを持っていると便利です。
このように、日本とチリの貿易であり、
アメリカに関係ないところでも、ドルが登場します。
さて、ワインの代金をドルでチリに送金すればよいと簡単に書きましたが、
このような国際送金は、簡単ではありません。
日数がかかる上に、手数料も多額となります。
あなたの取引銀行が地方銀行だったら国際業務は行っていないでしょう。
そうなると、地方銀行から三菱UFJ銀行などの都市銀行を経由する必要があります。
さらに都市銀行から国際コルレス銀行を経てチリの銀行へ届くことになります。
おそらく「直行便」はないでしょうから、いくつも経由銀行が介在するでしょう。
これでは、日数がかかる上に、手数料が増えていきます。
そこで、自社の銀行口座が、アメリカの銀行のニューヨーク支店にあって、
チリのワイン会社の口座も、アメリカの銀行のニューヨーク支店にあれば、
貿易の決済は便利です。
ここでも、日本とチリの貿易であってアメリカに関係ないはずですが、
やはり、アメリカが登場するのです。
次に、企業間の貿易ではなく、
日本人とチリ人の個人間の取引である場合は、どうなるか。
どうやって、ワインの代金をチリに送るのか。
これは、「PayPal」を使えば、瞬間的に決済は終了します。
日本人もチリ人も「PayPal」を利用していれば、決済は簡単です。
「PayPal」は、国際間の少額決済で有効です。
チリ人は、入金を確認したら、国際郵便でワインを発送するのです。
「PayPal」の存在が、個人間の「貿易」を簡単なものにするかもしれません。
「PayPal」とは、電子メールのアカウントを利用した、
国際決済サービスを提供するアメリカの企業で、
世界の多くの国に広がっています。
ここでも、日本人とチリ人の取引であって、
アメリカは関係ないはずですが、やはり、アメリカが登場します。